Journal de cerisier

花とゆめの新人漫画家です。お知らせと日々の徒然

COMITIA出張編集部に行ってみた話

ちょっと前までとにかく気力が湧かずグダグダする以外出来ないような日々でしたが、なぜかコミティア二日前にふと思い立ってしまい、過去作品を持って出張編集部に行ってみました。

 

 

 

出張編集部と、持ち込みについて思うこと

初めてだったので色々と右往左往しました。もっと気軽にサラ〜っと見てもらえるのかと思っていたけど、違うんですね…。整理券(だっけ)を書かなきゃいけなかったり…順番待ちがすごく長かったり…イメージとちょっと違ったので戸惑いました。いや、私の想像が軽すぎただけなんですが(笑)

とりあえずカタログを見て、なんとなくここ、と思った編集部に並びました。なんかすごくウェルカム的な雰囲気の文章だったから安心して行ってしまった…(笑)

その編集さんは、とてもとてもつまらなさそう〜〜〜〜に作品を読んでくれて、頬杖をついてため息もつきながらとても投げやりに面倒くさそうに批評してくださいました。
批評は有難く頂戴します。ただ、その態度はどうなのかな?と思いました。そして芋づる式に思い出した、昔の持ち込み行脚時の編集さんたちの態度…
最近白泉社にしか行ってないからすっかり忘れてましたが、持ち込みってこういう態度を取られることが多いように思います。
人として失礼のない態度を取ってほしいだけなのですけれどね…(私は就活してないからわからないけど、きっと就活生のみなさんも似たような扱いを受けることがあるんじゃないかな…と友人や家族の話から推測しました)
とにかく、人間として扱われないようなことがしばしばあります(笑)あなた普段の人間関係でもそうなの?と聞きたくなるような…。横柄で、すごく軽視されている感じで、嫌な気持ちになります。
(その点白泉社ではそんな態度を取られたことはほとんどありません…みなさんきちんとしてくださいます。安心して持ち込みに行ける…)

編集さんも忙しいのかもしれないし、疲れてるのかもしれない。おつかれさまです。
でも、だからって、街行く知らない人に暴言を吐けますか?
私にしたのと同じようにできますか?と聞いてみたい。

同じ人間同士、尊重しあえるのが一番だと思います。相手が誰であれ、どんな人であれ、尊重して、誤解を恐れず言えば“対等に”接する。目上の人には敬語で、目下の人相手でも高圧的にならないように、相手に対して丁寧に、普通に接するということの大切さ。
久しぶりにそういう人を見たことで、自分も気をつけようと改めて思いました。

 

…と、散々書きましたが、私自身はそんなに傷ついてません。
嫌だな…とは思ったしカチンと来たけれど、そこまでの打撃は受けませんでした。

でももし高校生の私だったら、きっとひどく傷ついたと思います。大人でも、初めての作品を持ち込んだときの態度がああだったら、ひょっとしたら再起不能になったかもしれません。人を傷つけて、理不尽に芽を摘み取るようなことをしている。それはとても罪深いことだと思います。

もし理不尽な扱いを受けて傷ついた漫画家志望さんがいたら、もう朝までその人の愚痴や泣き言に付き合いたい!その上で
「大丈夫!相手が変なやつだっただけだから!!そんな人ばかりじゃないから!!
気持ちを切り替えて次を描こう!!そんな人のせいでやめてしまうのは勿体ないよ!!」
とバンバン肩を叩いて励ましたい。
昔の自分にも言ってあげたいですね(笑)

編集さんに限ったことではありませんよね。例えば店員さん、銀行の窓口とか、意外とおまわりさんなんかも…。接客していたときはお客さんにもそういう人が意外といるんだなぁと感じました。人と接するときに失礼な態度をとる人。そういう人にはなりたくないと思います。
世の中そんな人ばかりではないけれど、当たってしまうと嫌な気持ちになりますよね〜。

 

それと…瑣末なことかもしれないけど、気になった点がもう一つ。
持ち込みに当たって整理券を書くんですが、持ち込みする側は氏名・年齢・住所・電話番号など個人情報を記入します。

だから当然編集さんたちは名札のようなものを首から下げてるものだと勝手に思って行きました。が、そんなこともなく…。

名前も知らない人に批評されるんですね〜。これってどうなんだろう。そこからしてもう、持ち込みする人への礼を逸してません?
こちらは志望者、あちらはプロの編集者。立場こそ違うけれど、人間同士のやりとりです。名乗り合った方が気持ち良くありませんか?それとも私が過敏なのかなぁ。

出版社に持ち込みをするときは電話でアポをとりますし、編集さんの名前を把握した上で持ち込みに臨みます。それが当然だと思っていたので、驚きました。
作品を読む前に名乗ってくれるのかな、と思いきやそれもなく…終始あなたは誰なんですか状態。これはあんまりよろしくないんじゃないかなぁ。聞けばよかった。
毎回名乗るのが負担なら、編集さんたちが首から下げてる札に名前書いておくだけでいいと思うのだけど…どうなんでしょう。要望としてコミティアの方に提出しようかな。

…と、色々とモヤモヤしながら最初の持ち込みは終了。
気を取り直して次、一迅社ゼロサムさんに見ていただきました。
ここでも名乗ってはもらえなかったものの、きちんと見ていただけて、きちんと冷静に批評していただけて(しかもすごく勉強になるお話が聞けて)良かったです。

 

持ち込みで言われたことと、大きな気づき

過去の作品を三つ持って行ってみました。二社で言われたことはとにかくお話の薄さについて。
それは花ゆめでも散々言われていることで、自分の最重要課題です。なので指摘された時の「ですよね〜…」感と言ったらなかった…

ゼロサムの編集さんに頂いたこのアドバイスがズシン、と来ました。
「アイディアをそのまま漫画にしていませんか?
アイディアというのは、それだけではなかなか面白くなりません
思いついたアイディア、描きたいもの、それをどう魅力的に見せるか、面白く見せるか。それを考えて描いてみると、また少し違ったものが描けるのではないでしょうか」

(○_○)
自分の最重要課題にズバン!と的中した気がしました。
それ…それだ…私に圧倒的に足りていない部分…!!

だから、最初に思いついた時点ではノリノリで描いていた漫画も、最終的にはイマイチな仕上がりになる。
なんかこう…思ってたのと違う…もうちょっと面白くなるかと思ってたのにな…
そうなってしまうのは、思いついた時点で描いているイメージと、完成形がかけ離れているから。
思いついた時点では、そのアイディアを最大限生かした面白い漫画がなんとなく想像される。それは当然といえば当然で、好んで読んでいる漫画はみんなアイディアを生かした面白い作品だから。
だから、そのアイディアさえあればきっとおもしろくなる気がしちゃう。
美味しい料理しか口にしたことがなければ、そこに美味しい人参があるだけで美味しい料理ができる気がしちゃう。
でも、現実は違う。いくら美味しい人参があっても、料理の仕方を間違えたら美味しくならない。人参を生でまるごと出しても、なかなか食べられない。茹でたとしてもうまく火が通らなければゴリゴリの固い人参。
でも、それをちゃんと適切な形に切って、コンソメとお砂糖を入れて、バターも入れて、適切な火加減で茹でれば、人参グラッセができる。人参の甘みを生かした美味しい料理。(オリーブオイルでも美味しいよね!)

もちろん、お肉や他のお野菜を入れてポトフにしてもいい。カレーやシチューや肉じゃがにしてもいい。どう料理してもいい…

なのに、私は人参をそのまんま出して、お料理した気でいたんだな〜と、それはもう目から鱗が何枚落ちるかわからないような大きな大きな気づきを得たのでした。

後日、頂いたアドバイスを反芻しながら、途中まで描いていた作品を見直してみました。すると改善点が出るわ出るわ…結局シナリオに戻ってもう一度作り直すことになりました。
アイディアは同じなのにこうも違うものかと驚いています。面白く描けるといいなー!
6月のBCに間に合うといいけれど…果たしてどうなるか…まだわかりません(笑)

 

ひとの力で元気出た〜

お知り合いが何人も参加なさっていたので、ツイッターで遡れる範囲で遡ってご挨拶に伺いました。おしゃべりしてくれた皆様ありがとうございました!
色々話したり、原稿を見てもらったり…見せてもらったり…そうこうしているうちにあっという間に時間が経ち、おひらきに。
帰る前にカフェに寄ってゆっくりしているときに、ふと自分の心持ちが、来た時と随分違うことに気づきました。

 

そもそも今回は突然思い立ったし、なんだか最近元気も気力もないし、人には会わずにこっそり行ってこっそり帰ろう…ツイッターでも報告しなくていいか…と思いながら行ったのに、
なぜか突然人と会いたくなり、連絡したり呟いたり、ゲリラ的登場をしてみたりw
そして帰路、何も気疲れすることもなく、むしろ来た時よりも元気になっている自分
全く想像していなかった状態。不思議でした。

たぶん、参加者のみなさんの熱気に当てられて、元気がムクムク復活したんだと思います。

最初会場に入った時、あぁ〜ここにいる人はみんな漫画や物作りが好きなんだな〜…と感じました。売る人、持ち込む人、買う人、みんな好きなんだな〜と…。それがすごくあたたかく感じられて、それが元気のもとになったみたいな。しおしおに萎れていた私に水をかけてもらったみたいな?そんな気がします。

そしてお知り合いの方々とお話しして、さらに肥料をもらったみたいな感覚。楽しいし、癒されるし、ありがたいなぁと思いました。素敵な人に囲まれて幸せ!もっとお話ししたかった!

 

私自身は、結構な人見知りの引きこもり人間で、実はあんまり“ひと”のことが好きじゃありません(笑)一人でいるのが大好きだし、友達少なくても全然いいし、むしろ人となるべく会いたくなーい!みたいなタイプです。(あ、好きな人は別です!コミティアで会ってくれた人みんな好きです!!!!念のため…笑)

そんな私なので、なおさら今回の気持ちの変化には驚きました。ひとの力というか、ひとの持つ感情の力なのかな?目に見えない力をすごく感じて、そのおかげでなんだか元気が出て、気力も湧いて、数日後には最近の私は何だったんだレベルに活動的になりました。少しずつだけど、自分を取り戻してるなぁ、と思っています。

結果的に、ふと思い立って突然行ってみたコミティア、大正解でした。
行って良かった!!


長い記事でしたがここまで読んでいただいてありがとうございました!